【3/8 共同養育Lab.開催報告】共同親権施行目前・家庭裁判所の今を確認する
第10回となる今回は、子育て応援弁護士・共同親権弁護士の古賀礼子さんをお迎えし、「共同親権施行目前・家庭裁判所の今を確認する」をテーマにお話いただきました。参加者は当事者・支援者あわせて複数名が集まり、4月1日の民法改正施行を目前に控えた今、運営メンバー、当事者、支援者の8名(男性4名・女性4名)で、家庭裁判所の実態と共同親権社会への展望について活発な対話が行われました。
参加者からは、「より短い期間で揉めていたことが解決する可能性が見えてきた」「民法を自分で読んでいく大切さを感じた」「共同親権は当事者だけの問題じゃないとあらためて気づいた」などの声が聞かれました。
内容
1)朝活で新民法を読む——コツコツが一番
古賀さんは、4月施行を前に共同親権(共同親権)に関する民法の条文を朝活で1問1答形式で読み込んでいる取り組みを紹介してくださいました。
「内容が正しいかどうかよりも、こうして取り組んでいることをオープンにし、コツコツやり続けることが大事」とおっしゃっていた言葉が印象的でした。新しい法律がどのようにできたかについては、やはり自分で条文を読み続けることが一番の近道だと。その姿勢が、裁判の場での引用や議論の根拠になっているとのことでした。
2)家庭裁判所に変化はあるか——具体的な事案から
古賀さん自身が関わっている複数の離婚訴訟事案をもとに、家庭裁判所の今の動きを率直にお話しいただきました。
裁判官が「共同親権を検討する」と言い始めた
1年前には考えられなかったことですが、裁判官の口から「新法施行を踏まえて共同親権を審理します」という発言が出るようになったといいます。改正法成立前は「現行法でやります」という姿勢が強かったのが、施行日(4月1日)が現実として見えてきたことで、裁判所の姿勢に明らかな変化が生じているとのことでした。
経済合理性が共同親権を選ばせる
「今拒否したら数年かかる。共同親権でOKと言えば早期解決できる」という経済合理性から、当事者が共同親権を選ぶ流れも生まれています。財産分与の解決を含め、早期に離婚を成立させたい当事者にとって、共同親権の受け入れはむしろメリットになるケースが増えているという現実がありました。
連れ去り防止合意書の成功事例
連れ去りの予兆があったケースで、代理人双方がついた状態で「共同監護合意書」を締結し、連れ去りを防ぐことに成功した実例が紹介されました。民法818条・820条・821条などを根拠に、「子どもの居所変更については双方の合意なしには行わない」「別居にあたっては共同での養育計画を策定する」などを約束した内容は、「結婚して子どもができた時点で全夫婦に必要な取り決めではないか」という言葉が参加者の心に響きました。
3)共同親権施行後の弁護士業界の変化
「連れ去りは難しくなる」という認識が弁護士の間にも広がりつつあるといいます。かつては「まず子どもを連れて離れなさい」と気楽に言っていた弁護士も、今では改正法の重みを意識して慎重になってきているとのこと。
また、「親子断絶に加担した弁護士の責任」という議論も出てきており、損害賠償請求が今後増えていくとの見通しも示されました。817条の12(親子交流に関する条文)が出たことで、親子交流を実施させることが弁護士の使命として問われる時代になっていくという指摘は、会場でも大きくうなずく声がありました。
4)当事者へのメッセージ——脱・断絶を最優先に
古賀さんが繰り返し強調されていたのが、「まず親子断絶を脱出することが最優先」という点です。
親権や監護権といった「アイテム」よりも、現に目の前で子どもの成長を感じられることの方が大切。離婚裁判を通じた共同親権の実現も目指しながら、まずは面会交流の実績を積み重ね、段階的に拡充していくことが現実的な戦略だとのことでした。
また、「当事者自身が学び続けることが不可欠」とのメッセージも。法律が変わった今こそ、条文を自分で読み、自分の事案に何が使えるかを理解していくことが、結果として子どもとの関係を守ることに直結するとのことでした。
参加者の声
「知識量が足りず、わからないところもありましたが、より短い期間で揉めていたことが解決する可能性もあるのかもという希望が見えました」
「結局は人がどのように受け取り、どのように解釈するかなんだと感じました。啓蒙の大切さを改めて思いました」
「結婚して子どもがいる方は全員、民法を知っておいた方がいいと思いました。まずは自分が勉強しなければ」
運営の感想
今回の古賀礼子さんのお話は、法律の現場から見えてくるリアルな変化と、当事者への温かいエールにあふれた時間でした。
「家で家族と安心した状態で過ごすこと」——これは共同養育Lab.が目指す根っこでもあります。離婚や別居を経験した方も、そうでない方も、子どもがいる家族にとって両親が対等に子育てに関われる社会は、誰にとっても良い未来だと感じます。
人がどう受け取り、どう動くかで社会は変わる。今日も痛みを抱えながらも前に進もうとしている方々とお話しして、その強さと優しさにあらためて力をもらいました。
共同養育Lab.は、今後も毎月第1日曜日の午後に開催予定です。共同養育に関心のある方は、ぜひお気軽にご参加ください。

